日本語教育でメールの書き方を教える際に押さえておきたいポイント
「日本語でのメールの書き方は?」「日本語でメールを書く際の注意点は?」
外国人が日本語でメールを書く場合はもちろん、日本人が外国人にメールの書き方を教える場合はより難しさがあるでしょう。
本記事では、日本語でのメールの書き方にくわえて、送信先設定の違いにいたるまで詳しく紹介していきます。
日本での外国人労働者が増えた今、人事担当や教育担当の方には必須級の知識かもしれません。
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外国人にとって日本語でメールを書くことは難しい?
外国人が日本語でメールを書くとき、思いもよらないところで躓くかもしれません。
それが、言語の壁ではなく文化の壁。
語学力に自信のある外国人も、いざ日本でビジネスの世界へ足を踏みいれたとき、メールにおける独特のルールは新たに学ばなければなりません。
この「メールのルールがいくつもある」という文化的側面によって、日本語でのメールの難易度が上がっているように思います。
日本語でメールを書く際の項目
日本人のメールにはある程度の定型があり、それを覚えてしまえばさほど難しくありません。
基本的な型は、以下の6ステップです。
- ①件名
- ②宛名
- ③あいさつ文
- ④要件
- ⑤結び
- ⑥署名
以上6ステップを順序どおりに埋めていくだけで、日本語でのメール作成が簡単にできるので、6つに分けて教えていくとよいでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
項目①件名
まずは件名です。
件名は用件を示すタイトルのことで、本文には含まれません。
「件名:【所属会社名】〜について」といったように、所属と用件を一目でわかるほど簡潔に書きましょう。
会社や送り先によっても若干異なるため、隅かっこ(【 】)の中を変えるなどして対応したいですね。
項目②宛名
次に宛名です。
そのまま送り先の相手の名前を記載すればよいのですが、名前のあとには「様」をつけ忘れないよう注意。
また、社外の人へ送る場合は「会社名・部署名・(役職)・名前」という順番で本文のはじめに添えることも押さえておきましょう。
項目③あいさつ文
日本語でのビジネスメールでもっとも難解なのが、このあいさつ文でしょうか。
日本のビジネスメールは、本題へ入る前にあいさつ文を挿入するのが基本ですね。
ただ、あいさつ文にはある程度テンプレートが存在するため、それさえ押さえておけばそこまで難しくないでしょう。
以下にあいさつ文の例を用意しました。
- お世話になっております。〇〇(社名)の〇〇(名前)です。
- ご返信ありがとうございます。〇〇(社名)の〇〇(名前)です。
- 日頃よりご愛顧いただきありがとうございます。〇〇(社名)の〇〇(名前)です。
基本的な型にくわえ、やりとりが続いているとき、普段から依頼をしてくれている得意先に宛てるときなど、バリエーションも教えておきましょう。
項目④用件
ここまできて、ようやく本題へ入ります。
用件を伝える段階ですが、伝え方にもコツがあります。
まずは要点から伝え、次に詳細を、最後にもう一度要点を確認する。
この3ステップの流れで書けば、スムーズでわかりやすい報告ができますね。
項目⑤結び
結びは、英語でいう「Best Regards」にあたります。
- 今後ともよろしくお願いいたします。
- 引き続きよろしくお願いいたします。
- ご検討のほどよろしくお願いいたします。
以上が代表的な例です。
しっかり覚えてもらいましょう。
項目⑥署名
署名とは、誰が送信したのかという情報です。
以下の情報さえ盛りこめば、署名は問題ないでしょう。
- 会社名
- 部署名(役職)
- 名前
- 会社の住所
- 電話番号
- メールアドレス
署名も、以上の定型を覚えてしまえば問題ありません。
メールの書き方を教育する際のポイント
次は「教える」という行為にフォーカスして話していきます。
項目どおりに仕上げても、構成しかうまくいっていない状態では不自然なメールができあがります。
ここでは、メールの書き方における注意点を以下の3点に絞って紹介します。
- ①必ずチェックを徹底する
- ②改行で見やすくする
- ③メール送信のタイミングに気をつける
それぞれ解説していきましょう。
ポイント①必ずチェックを徹底する
ここまで、メールに記載する項目を解説してきましたが、それでもチェックは入念にお願いします。
英語でも、ビジネスレベルは日常会話レベルより上に位置します。
日本語の文法的なチェックもかねて丁寧なチェックを徹底してください。
ポイント②改行で見やすくする
まずは基本中の基本、改行です。
改行があるかないかでは、一見したときの読みやすさが段違いでしょう。
本記事でも改行を多く使用しています。
また、話題が変わるときには空行を挟むのもポイントですね。
ポイント③メール送信のタイミングに気をつける
スマホの通知機能のカスタマイズ性が上がったからか、メールやチャットは何時に送ってもよいという考え方の人も増えているようです。
とはいえ、リスクマネジメントという意味でも、基本的に夜の送信は憚るべきことも教えておくのがベターでしょう。
日本語でメールを書く際の注意点
ここからは、日本語でメールを書く際の注意すべき点を紹介していきます。
大きく分けて以下の4つがあります。
どれも外国人労働者が躓きやすいポイントです。
ひとつずつ簡単に解説していくので、見ていきましょう。
注意点①時制
注意したい表現は「お世話になっております」
「お世話になりました」と過去形にしてしまうと、意味合いがまるきり変わってしまいます。
注意点②敬語の使い方
また「お世話になっています」ではなく「〜なっております」と、謙譲表現を用いることも注意が必要。
「仰る」「伺う」「いらっしゃる」など、動詞自体が変わる敬語表現も多いため、ひとつずつ覚えてもらいましょう。
注意点③人称
二人称についても注意が必要です。
日本語でのメールにおいて「あなた」や「君」は用いませんよね。
相手の名前に敬称(様)をつける習慣をつけさせましょう。
注意点④語尾
中国人がよくミスする依頼文の語尾として「〜する、いいですか」というものがあります。
依頼をするとき、中国語では「〜、可以吗?」と表現し、この確認のような言い回しが先ほどの不自然な日本語に繋がっているのでしょう。
また「〜ていただく」「〜てくださる」などの授受動詞や「〜させて(いただく)」などの使役の助動詞も、押さえておくべきポイントです。
メールの送信先設定の違い
また、メールの送信先設定にも種類があり複雑です。
送信先設定を正しく理解できていないと、送るべきでない人に送ってしまったり、最悪の場合は情報漏洩に繋がったりします。
種類は以下の3つです。
それぞれ簡単に解説していきます。
①TO
「TO」はまさに宛先です。
「あなたに伝えています。返信ください」の意。
②CC
「CC」は共有者の名前です。
「TOの人に送りました。念のため確認お願いします」の意。
③BCC
「BCC」も共有者ですが「CC」と違って匿名です。
他の受信者には名前が表示されません。
日本語でのメールはルールを知って攻略
いかがでしたか。
日本語でのメールの書き方や、メールを書く際の注意点がわかっていただけたかと思います。
日本のビジネスメールはルールが多く、外国人労働者には難しく感じることも多いでしょう。
しかし、だからこそ日本人さながらにメールを送れると、強い信頼を得られるかもしれません。
これを機に、外国人労働者の日本語でのメール力底上げをはかってみてください。
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