外国人のリスニング力向上に効果的な日本語の聞き取り練習法

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「日本語のリスニング能力を上げるには?」
「日本語の聞き取り練習はどうすればいい?」
日本人はリスニングしようと思って日本語を聞いていませんが、外国人と日本語の関係には「聞き取り」という明確な壁があります。

本記事では、日本語の聞き取り練習におけるコツなどを詳しく紹介していきます。
日本での外国人労働者が増えた今、人事担当や教育担当の方は必須級の知識かもしれません。

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外国人社員にとって日本語のリスニング能力は重要?

結論からいって、外国人社員にとって日本語のリスニング能力は重要です。
たしかに、外見で外国人であることがわかるケースは多く、それによって多少の文法ミスには寛容に対応する日本人が大半でしょう。
しかし、ビジネスとなると対応の目は厳しくなります。
実際、電話で問い合わせた先の社員とうまくコミュニケーションが取れないと不安ですよね。
企業の信頼問題にも繋がりうるので、外国人社員の日本語のリスニング力は上げておきましょう。

日本語の聞き取り練習で押さえておきたいポイント

まずは、日本語の聞き取り練習において押さえておきたいポイントを理解しておきたいですね。
ここでは大まかに分けて5つ、以下のとおり紹介します。
      1.翻訳しない
      2.会話の場面を想像して練習する
      3.聴覚と視覚を使い分ける
      4.文法や語彙をその人のレベルに合わせる
      5.音読に力を入れる

それぞれ解説していきます。

ポイント①翻訳しない

学生時代、英語の長文を読むのが遅かった人はまわりにいませんでしたか。
長文を読むのが早い人にはある共通点があります。
それが「翻訳しない」こと。
彼らは「apple」を見て、いちいち「りんご」と変換しません。
「apple」という文字を見たら、りんごの「映像が浮かぶ」のです。
自分の母国語に翻訳せず、音からイメージへ繋ぐことを意識するようすすめてみてください。

ポイント②会話の場面を想像して練習する

日本語の難しい点を聞くと、多くの人が「敬語」を挙げるでしょう。
日本は雰囲気、空気感を大事にする風潮があります。
場面ごとの言い回しを逐一暗記していく方法もよいですが、可能であれば会話の場面を頭のなかで思い浮かべながら練習してもらいましょう。
相手との関係性やその場の状況で複雑に変わる言い回しの傾向を、掴みやすいかもしれません。

ポイント③聴覚と視覚を使い分ける

学生の頃、暗記術としてどんなことをしていましたか?
ひたすらに書く、声に出す、友人に問題を出してもらう。
人によってさまざまでしょうし、実際に「合う合わない」は存在します。
ただ、聴覚的な練習と視覚的な練習、どちらもこなせばやはり暗記は早いでしょう。
ポイントは使い分けること。
聴覚的な練習である、と認識したうえで取り組んでもらいましょう。

ポイント④文法や語彙をその人のレベルに合わせる

最近は個別指導塾が流行っていますが、その背景には「個々人の理解度・進度に合った授業提供」という強みがあるのでしょう。
日本語学習も同じです。
文法や語彙は、当事者のレベルに合ったものを扱いましょう。

ポイント⑤音読に力を入れる

いくら読み書きができても、スピーキングやリスニングの能力が高いかというとそれはまた別です。
リスニングの能力を上げたければ、聞くこと、話すことをメインにしましょう。
なかでも音読は一人でできるので、方法さえ教えてあげれば効率的に日本語能力が上がるでしょう。

基本の日本語リスニング力を向上させる練習方法

次はいよいよリスニングの練習法です。
ここではオーソドックスなものを以下の3つ紹介します。
      1.ライティング
      2.ドラマ・映画鑑賞(字幕なし)
      3.日本語の音声コンテンツ聞き流し
それぞれ解説していきます。

方法①ライティング

最初に紹介する方法は「書いてみる」です。
リスニングなのにライティング? と思うかもしれませんが、音を視覚化するのは重要です。
どの文字がどんな音なのか、書くことで文字ごとの音を把握できます。
また、英語にはあるリエゾン*が日本語にはないため、ライティングはより有効な練習法といえるでしょう。

*語尾の子音が次の語頭の母音と繋がること

方法②ドラマ・映画鑑賞(字幕なし)

次に、ドラマや映画で学ぶ方法。
人間の脳は、ストーリーがあると記憶しやすくなっています。
聞き取れなかった部分をストーリーの流れから推測する方法で、実践力を高めましょう。

方法③日本語の音声コンテンツ聞き流し

次の段階として、映像なしで日本語のリスニングをしていきます。
ラジオやオーディオブックなどの音声コンテンツを聞き流しましょう。
映像なしで聞けるようになると、もはや実践も同然。
あとはスピーキングの問題さえクリアすれば、スムーズな会話ができるでしょう。

応用の日本語のリスニング力を上達させる方法

力がついてきたら次は応答編です。
ここでは以下の2つに絞って、より上達する方法を紹介します。
      1.日本人との会話の機会を増やす
      2.職場でなるべく日本語に触れやすい環境を作る
それぞれ解説していきましょう。

方法①日本人との会話の機会を増やす

外国人社員に、教材だけで学習させていませんか。
私たち日本人が習った英語の教科書。そこに出てくる表現とネイティブの表現は異なる部分も少なくありません。
日本語でも同じです。
とくに、日本人特有の「空気を読む」や「遠回しな表現」は、実際の対話でないと得にくい面も多くあるでしょう。
ぜひ、日本人との会話の機会を増やしてあげてくださいね。

方法②職場でなるべく日本語に触れやすい環境を作る

日本人との会話の機会を増やすといっても、他社で失礼があっては困ります。
かといって、日常生活のなかで日本語を多く使っても、フィードバックがなされません。
最適解は「職場で日本語での会話機会を増やしてあげる」です。
社内であればたとえ誤った日本語を使ってしまったとしても大きな問題には発展しないため、アドバイスも心置きなくできるでしょう。

日本語のリスニング力を上達させるコツ

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方法を学んだあとは、上達のためのコツを見ていきましょう。
ここでおすすめするのは以下の3つです。
    1.発音を完全にインプットすること
    2.意味は後から覚えること
    3.単純なシチュエーションから学ぶこと
それぞれ簡単に解説していきます。

コツ①発音を完全にインプットすること

結局は「音」です。
発音を聞こえたままに覚えましょう。
英語の「V」が「ビー」ではなく「ヴィー」である感覚と似ているかもしれませんね。
細かいところまで聞きとって、再現することを意識するとよいでしょう。

コツ②意味は後から覚えること

リスニングをしている最中は、わからない単語で止まってはいけません。
意味を覚えるのはリスニングを聞き終わったあと。
まずは日本語の発話のテンポ感を掴むことや、わかる単語をイメージすることを優先させましょう。
リスニングと座学を何度も行き来することで、翻訳を介さずにイメージできる単語を増やしていけるとよいですね。

コツ③単純なシチュエーションから学ぶこと

まずは単純なシチュエーションから学ぶこともコツのひとつです。
複雑な文章や想像しにくい場面よりも、はるかにインプット効率が上がります。
実際に見たシチュエーションを日本語で説明するのもよいでしょう。

ポイントを押さえてリスニング力を上げよう

いかがでしたか。
今回は、日本語のリスニングについて解説してきました。
日本語の聞き取り練習をするうえで押さえておきたいポイントや、リスニング上達のコツがわかっていただけたかと思います。
日本語のリスニングは、日本人にとっての英語よりもおそらく簡単ではないでしょうか。
ライティングなどの方法を駆使して、外国人社員のリスニング力向上を目指しましょう。

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